和ゆらり …「大人のための和ークショップ」〜わたしだけの贅沢時間〜


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おもてなしのこころで、食卓をもっと楽しく

仕事の集大成になった和−クショップ

今回、和ークショップに関わられることになったきっかけは何ですか?

『和ゆらり』主宰の浅井さんとわたしは、かれこれ20数年前(!)、同じ出版社にいた頃からのおつきあいです。偶然にも、わたしも昨年から着物の魅力にはまり、着付けを勉強しはじめました。浅井さんの『和ゆらり』構想には立ち上げから応援。初回和ークショップの「お香づくり」にも参加させていただき、ついに今回わたしに「せんせい」として参加させていただくチャンスがきました。

実は、このお話を浅井さんからいただいた頃、6年続けてきた店のリニューアル案が具体化する直前でした。この和ークショップは、試行錯誤で続けてきた料理の仕事の集大成という意味でも、わたしにとってたいへん意義のある講座となりました。


小泉さんからご覧になった、和ークショップのご感想は?

みなさん、さすが、わざわざ鎌倉まで足を運んでくださるだけあって、「飲む食べる」にかなり興味ある方たちばかりでしたね。盛りつけの実践コーナーでは、料理の形、色をよく考えながら器を選び、ちょっとドキドキしながら盛りつけていらしたのが新鮮でした。この店をはじめた頃の自分をちょっと思い出しました。


和ークショップに参加された人たちに、いちばん知ってほしかったことは?

おもてなしのこころというのは日本人特有の美学です。 ひとりぼっちの食卓でも、器ひとつにこころを寄せることで料理の味わいもちがうものです。食べ盛りのお子さんがいて、器もなにもおかまいなしで、とおっしゃる方がいましたが、いつか本当に「料理」を楽しめる日はきます。ちょっと気取った外食の折りには、盛りつけや器を意識してみてください。そのイメージはきっと反映されるはず、みなさんそれぞれの感性を大切に、日々の食卓を楽しいものにしてほしいですね。

食卓をステキにするヒントは、食べる人の気持ちを考えること

献立の立て方のポイントを教えてください。

まず、旬の素材をつねに意識して、食材を選ぶことで季節感をもりこむというのは、いちばん大事なことです。たとえば、お弁当を思い出してください。品目はだいたい4、5種類、肉や魚、野菜、卵など食材を用い、同じ色合い、味つけ、調理法にならないようバリエーションをもたせるのがコツと言われます。料理でも同じ。五味(酸、苦、甘、辛、塩)、五色(青または緑、赤、黄、白、黒)、五法(煮、焼、生、揚、蒸)を考えながら、起承転結、強弱のある献立にするといいでしょう。つねに食べる人の気持ちを考えて、献立を考えたいものですね。

陰陽五行」(いんようごぎょう*)が献立のポイントにあるのは新しい発見でした。「陰陽五行」を、普段の生活に意識されることはありますか?

「陰陽五行」は茶道、華道、武道や芸能などあらゆる日本文化に影響を与えています。特に意識せずとも自然に生活に取り入れているのは、わたしだけでなく、みなさん同じではないでしょうか。あらゆるものには相反するものが存在し、それは正誤や善悪ではなく、あるがままに受け止める、という発想はとても好きです。 どちらか、ではなく、どちらも、という考え方は、偏狭になりがちなこころにバランス感覚を取り戻させてくれるものではないでしょうか。

“達成感”という気持ちを大事にする

バランス感覚をもつことは大切なんですね。わたし自身、仕事で忙しいときにはバランスがうまくとれず、ついついいろいろなことがおろそかになってしまい反省してしまいます。3つの仕事をこなす小泉さんが活動をされるときの秘訣はなんですか?

店の仕入れ、仕込み、営業時間以外に、フラメンコ、出版の仕事が入ってくるので、今日すべきことを明日に延ばさない、というのはありますね。「一日完結」・・・これでないともちません(笑い)。わたしはずぼらと几帳面が同居しているので厄介なんですが、「達成感」というものをいちばん大切にしていることなので、今日すべきことが(まずまず)できたという自己肯定と喜びがモチベーションになっているかもしれません。


最後に、小泉さんにとってのゆらり時間とは?

散歩しているときです。鎌倉は海あり山ありで歩くコースに事欠きません。緑の萌える匂いを感じながら森を歩いたり、潮風に吹かれながらビーチコーミング(海辺に打ち上げられた漂流物を採集すること)をしたり、心地よく五感が刺激されて時間を忘れてしまいます。お供の愛犬が、去年亡くなってしまい、この「ゆらり時間」から少し遠ざかっているのが残念。


(*「陰陽五行」とは、万物は「陰」と「陽」の相反する「気」によって成り立っているという「陰陽思想」(いんようしそう)と、万物は5つの要素によって成り立っているという「五行思想」(ごぎょうしそう)を組み合わせた思想のこと。中国から伝わり、干支などに見られるように、日本の文化に深く根付いている。)



< 小 泉 さ ん の お 気 に 入 り の 品 >



胸キュンの「木製灯台」



「お料理とはまったく関係がないんですけど…」と教えてくださったのが、木製の灯台たち。「さい果ての地で静かに自分の役目を果たしている灯台に胸キュンです」(小泉さん) 赤白の灯台は、地元、鶴岡八幡宮で夏に開催される骨董市で見つけたもの。青い縞の灯台は、茅ヶ崎の雑貨屋さんで。白い灯台はリサイクルショップのがらくたコーナーより“救出”(!)されたそうです

レポート ◎ mio